スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン

ここのところ日本では、スウェーデンにまつわる展示会が多く開催されているような気がします。
北欧のテキスタイルと暮らし Beauty for ALL』『スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき』『20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展』など、昨年は『ヒルマ・アフ・クリント』も開催されました。

日本とスウェーデンが国交を結んだのは1868年。今年は158年と中途半端な数字ですし、国交樹立とは関係ないようです。
個人的勝手な推測ではありますが、例えばフィンランドのアイコン的存在であるムーミンマリメッコアルヴァ・アアルトなどは、出尽くした感があります。新しい何かを求めるのは自然なのかもしれません。
とはいっても、今年の夏には『マリメッコ展』の巡回展が京都からはじまり、現在はフィンランドのデザイナー、カイ・フランクの展覧会が大分で開催中です。
やはり日本人における北欧のイメージは、フィンランドなのでしょうか。

筆者の北欧の大まかなイメージは、家具はデンマークテキスタイルはフィンランド手工芸はスウェーデンです。
「これはヤコブセンのエッグチェアです。このテキスタイルはマイヤ・イソラのデザインです」と、家具やテキスタイルは有名なデザイナーに焦点は当たりやすいですが、名もなき作り手のスウェーデン手工芸に日の目が当たることは少ないように思います。そこにスポットを当てたのが、今年、東京と大阪で開催された『北欧のテキスタイルと暮らし Beauty for ALL』でした。
もちろん、スウェーデンには、リサ・ラーソン、スティグ・リンドベリなどのデザイナーや、『長くつ下のピッピ』『ちいさいロッタちゃん』などの著者であるアストリッド・リンドグレーンなど、人気の陶芸家や作家はいますが、マリメッコやムーミンほど盛り上がっていないような気がします。あくまでも個人の肌感ですけど……。

現在、兵庫県西宮市大谷記念美術館で開催されている展示会もまた、スウェーデンものです。
スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン』展には、約250点のスウェーデン・テキスタイルなどのほかに、椅子研究家で東海大学名誉教授の織田憲嗣おだのりつぐ先生所蔵の椅子や食器類なども展示されています。
また、いま着てもかわいいレトロなワンピースやスカートなども紹介されています。

大きなテキスタイルは壁に、小さなものはショーケースにディスプレイされたテキスタイルには、スウェーデンの暮らしが垣間見られるようなデザインがあしらわれ、また、幾何学模様や、『ニルスの不思議な旅』や『カエルの王子様』といった物語をモチーフにしたテキスタイルが並んでいました。
さらに、富士山や松、ジャパンブルー(藍色)を連想させる色のアジサイ?がデザインされたものなど、日本から影響を受けたテキスタイルも展示されています。

*著作権の関係で単品での写真撮影が禁止で風景としての写真のみの紹介となっています。展示の様子をみていただけると幸いです。

北欧のライフスタイルをみられる展示
幾何学模様
草花のテキスタイルの展示風景
日本をモチーフにしたテキスタイルの作品
右、中央はチキ・マットソン、左はスヴェン・フリステットのテキスタイル
織田先生、北海道東川町所蔵の椅子
右、中央はイエータ・トレーゴード、左はレーナ・エークルンドのテキスタイル

アスリッド・サンぺ(Astrid Sampe)

アスリッド・サンぺ(Astrid Sampe:1909〜2002)は、スウェーデン・テキスタイルの先駆者のひとりです。
アスリッド・サンぺは、スウェーデン・ストックホルムにある老舗のNK百貨店(Nordiska Kompaniet)に1936年に入社しました。翌年、NKテキスタイル部門マネージャーに就任し、1971年まで勤めました。

1940年代初頭には、自分のデザインしたテキスタイルの耳にサインを入れ始めました。そしてアスリッド・サンぺが主導した「署名入りテキスタイル展」(Signerad Textil 1954)には、画家、建築家や科学者など他業種の著名人12名の作品が展示されました。
このなかには、スティグ・リンドベリや、フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトも参加しました。

アスリッド・サンペの作品
テキスタイルの耳に名前(ASTRID SAMPE)入り(『北欧のテキスタイルと暮らし Beauty for ALL』より)
バージョン家のスパイス棚のカットボード(筆者の私物、自宅撮影)

イエータ・トレーゴード(Göta Trägrådh)

イエータ・トレーゴード(Göta Trägrådh:1904〜1984)は、ファッション・テキスタイルと教育者の二面から、スウェーデンテキスタイル界に大きな影響を与えました。
彼女のキャリアは、雑誌のファッションイラストレーションからスタートしました。『スヴェンスカ・ダーグブラデット(Svenska Dagbladet:スウェーデンの新聞)や『ボニエール・ヴェコティドニング(Bonniers Veckotidning:スウェーデンの雑誌)』に作品を掲載しました。
建築家グンナー・アスプルンドから依頼を受けた1930年のストックホルム万国博覧会で着用されるスタッフの制服のデザインは、彼女のキャリアにとってとても重要なものでした。
また、アンダース・ベックマン(Anders Beckman:1907〜1967)らと広告、イラスト、ファッションのためのベックマンズスクール(Beckmans Skola för Reklam Illustration Mode)を1939年に設立し、後進の育成にも努めました。
学校設立時から亡くなる1984年までファッション科の主任教師としてパターン・メイキングやファッションイラストレーションを教えました。また、学生を繊維産業の仕事に採用するなど、実践の場も提供しました。

イエータ・トレーゴードの作品
イエータ・トレーゴードのスケッチ


「スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン」展は、2026年6月28日まで兵庫県の西宮市大谷記念美術館、名古屋市美術館では2026年7月11日(土)~9月6日(日)、その後、世田谷美術館で2026年9月19日(土)〜11月15日(日)と巡回する予定です。

西宮市大谷記念美術館の庭園
ミュージアムショップ

スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン
西宮市大谷記念美術館
 2026年4月4日(土)〜6月28日(日)
名古屋市美術館
 2026年7月11日(土)~9月6日(日)
世田谷美術館
 2026年9月19日(土)〜11月15日(日)

参 考
skbl.se – Göta Elisabeth Trägårdh
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『スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン』
『北欧のテキスタイルと暮らし Beauty for ALL』
ギセラ・エロン『北欧のテキスタイル 原点となった12人のコレクション』ブルースインターアクションズ、2010

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