北欧のテキスタイルと暮らし展  Beauty for All

2026年3月4日(水)から16日(月)まで、東京、日本橋高島屋8階で、「北欧のテキスタイルと暮らし展」が開催されています。
展示内容はスウェーデンが中心で、フィンランド、デンマークの作品が展示されています。

展示会のサブタイトルにある「Beauty for All」は、1899年、いまから120年以上も前に出版されたスウェーデンの思想家、エレン・ケイ(Ellen key:1849〜1926)が、暮らしと美についてまとめた本のタイトルです。
本展示会では、彼女のシンプルでつつましい生活を美徳とし、すべての人が美しさを享受すべきであるという思想にもスポットをあてています。

展示会は、「Beauty for All」という言葉からスタートします。その下には、スウェーデンのテキスタイルデザイナー、バーブロ・ニルソン(Barbro Nilsson:1899〜1983)がデザインした作品名「庭園のクロス」(1926)が展示されれています。ニルソンの作品を皮切りに、スウェーデンの伝統的な手法(ムンカベルト、ローゼンゴン、ウッブヘンタ、ルーロカンなど)で織られたテキスタイルや、刺繍の作品が展示されています。
展示会場ではところどころに、テキスタイルと北欧出身のデザイナーがデザインした家具や照明を使ったインテリアコーディネートが展示されています。

「Beauty for All」。バーブロ・ニルソンがデザインした「庭園のクロス」(1926)
スウェーデンの伝統的な手法で織られたテキスタイル
ポーソム刺繍。スウェーデンのダーラフローダ村の伝統衣装
ダールドレル織り
テーブルクロスとして日常を彩る(写真パネル)

手工芸とエレン・ケイについての展示のあとは、プリント作品の展示へと移ります。
スウェーデンのテキスタイルデザイナー、アストリッド・サンぺ(Astrid Sampe:1909〜2002)は、スウェーデンの高級デパートのNK百貨店(ノーディスカ・コンパニー)テキスタイルスタジオで責任者となり、スウェーデンの繊維業界の改革者の一人です。
また、インテリア向きの高品質のプリントコレクションの制作プロジェクトのために、1954年、NK百貨店で「署名入りテキスタイル」展を開催しました。メンバーは、芸術、広告、グラフィック、科学、建築の分野から選出し、そのなかには、フィンランドの建築家、アルヴァール・アアルト(Alverl Aalto:1898〜1976)もいました。
いま北欧のプリント生地をみると、デザイナーの名前やデザインのタイトルなどが入った生地は、当たり前のものですが、複製が可能なプリント技術を用いてアートと複製品の間に橋をかけることが狙いだったようです。

大胆なプリント生地では、フィンランドのマリメッコのデザイナー、マイヤ・イソラ(Maija Isola:1927〜 2001)やヴォッコ・ヌルメスニエミ(Vuokko Nurmesniemi)の作品も数多く展示されています。
フィンランド最古のテキスタイルブランド、フィンレイソン(Finlayson)は、ありませんでしたが、テキスタイルメーカー タンペッラ(Tampella)で活躍したデザイナー、マルヤッタ・メッツォヴァーラ(Marjatta Metsovaara:1927-2014)の作品の展示はありました。

会場内、「第3章 日常を彩るプリントデザイン」
刻印入りのアストリッド・サンぺ「そろばん」(1949)
スティング・リンドベリ「ポエム・ダムール」(1947)
フィンランドのテキスタイル・ライフブランドのマリメッコのデザイナー、マイヤ・イソラの作品
フィンランドのテキスタイルデザイナー、マルヤッタ・メッツォヴァーラとヴォッコ・ヌルメスニエミの作品

そして、北欧の伝統の織り物のひとつに、リアRya スウェーデン語、フィンランド語ではリュイユ:Ryijyという)があります。リア(リュイユ)も多く展示されていました。
リア(リュイユ)は厳しい冬の寒さの北欧諸国では、毛足の長い方を内側にして掛け布団にしたり、床や壁のすき間風を防ぐための実用的なもので、幾何学模様、動植物、アラビア文字がモチーフでした。次第に部屋を美しく彩るアイテムとして、いまではデザイナーが自由な発想でデザインされたものが織られています。

ラグ「黄金の城」マリアンヌ・リヒター(1959)
ラグ「アトム」ヴィオラ・グロスデン」(1950S)
ラグ「ファンタジー」ヴィオラ・グロスデン(1950S)
タペストリー「鴨」ドラ・ユング(1954)
スウェーデンの高級デパートのNK百貨店(2025年7月撮影)
アニタ・グラフマンによるストックホルム市庁舎のカーペット。筆者が昨年訪れた際に撮った写真。会場内では写真のパネル展示で紹介されている

本展では、スウェーデンのテキスタイルを中心に、エレン・ケイが説いた「美しいと思うものと暮らすことが幸せをもたらす」という言葉が表すように、北欧の暮らしにどのようにテキスタイルがかかわってきたのかがみえてきます。
日本では、テキスタイルを暮らしのなかに上手に取り入れらていないですが、この展示会を参考に、まずはお気に入りの生地を壁やテーブルにかけることからはじめると、北欧の暮らしに近づかるかもしれません。

インテリアの見本

東京会場は間もなく終了ですが、大阪の高島屋では、2026年3月25日(水)からはじまります(4月13日(月)まで)。

隣の会場で開催されていた「北欧展」も賑わっていました。チラシに掲載されていたお店は、長蛇の列! 個人的には、FIKAFABRIKENのセムラ(イースター前の断食前に食べる菓子パン)とその姉妹店のtorpetのカルダモンパンやシナモンロールがおすすめです。
*北欧展は3月9日(月)に終了

北欧展
ダーナラホース(スウェーデンの木馬の置き物)
本館1階ではmerimekkoのポップアップが開催(3
月4日〜10)
FIKAFABRIKEN(東京、豪徳寺)のセムラ
merimekko Sakura ポップアップ

北欧のテキスタイルと暮らし展  Beauty for All
日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール
2026年3月4日(水)〜3月16日(月)
入場時間:午前10時30分〜午後7時(午後7時30分閉場)
※最終日3月16日(月)は午後5時30分まで(午後6時閉場)

大阪橋高島屋 7階グランドホール
2026年3月25日(水)〜4月13日(月)
入場時間:午前10時〜午後6時30分(午後7時閉場)
※最終日4月13日(月)は午後4時30分まで(午後5時閉場)

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