【スウェーデン】世界遺産 森の墓地

森の墓地(Skogskyrkogården)は、スウェーデンの建築家、エリック・グンナール・アスプルンド(Erik Gunnar Asplund:1885〜1940)とシーグルド・レヴェレンツ(Sigurd Lewerentz:1885〜1975)が設計しました。
アスプルンドは、フィンランドのアルヴァ・アアルト(Alvar Aalto:1898〜1976)、デンマークのアルネ・ヤコブセン(1902〜1971)に大きな影響をもたらした人物です。

森の墓地は、1994年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
1914年にコンペが行われ、主催者は新しいアイデアを求め、墓地を訪れる人が生と死の循環を感じられることを重視しました。

コンペの指針
◯ 美的に魅力的で芸術的であるべき。
◯ 大きな記念碑は設けずすべての人の墓を同じ大きさにし、威厳のある空間にするべき。
◯ 森林や自然環境は可能な限り保存されるべき。

若き日のアスプルンドとレヴェレンツは、「Tallum(タッルム)」というタイトルでコンペを勝ち取りました。しかし、1910年代の経済的な困難で彼らは何度も設計し直し、計画を簡素化しなければなりませんでした。

2025年2月改修工事がはじまり2027年に完成予定
ウッドランド火葬場。1970年代には、グンナー・アスプルンドの息子ハンス・アスプルンドの下、改修工事が行われた
ウッドランド火葬場の前の池
ウッドランド火葬場の前の芝生に建っている花崗岩の十字架。十字架は伝統的にキリスト教の死後のシンボルとしてとらえられているが、ここでは単に墓地のシンボルとみなされている
グンナール・アスプルンドの階段は礼拝堂と花崗岩の十字架へと続いている
火葬場へ続く小道の脇にある墓地
改修工事が終わったらまた行きたいです

アイムホイデンは正面入り口を入ってすぐ右側にある、瞑想の森です。1935年に完成しました。穏やか坂を登った丘の上にあり、そこから花崗岩でできた大きな十字架を眺めることができます。

ニレの木に覆われた瞑想の森

森の墓地には5つの礼拝堂があり、森の礼拝堂(Skogskapellet)はそのなかでいちばんはじめに(1919年から1920年にかけて)建てられました。
礼拝堂の入り口の屋根には、カール・ミレスの彫刻「死の天使」が設置されています。

木造建築のチャペル。屋根の上にカール・ミレスの彫刻「死の天使」
ノブの横には骸骨の彫刻
たまたま葬儀前で、中に入ることができた
光は天窓から差し込む
遺体安置場
上部のレリーフにはラテン語で「Hodie mihi gras tibi」今日は私に、明日はあなたに(死が)訪れる、という意味

アスプルンドは、森の礼拝堂(Skogskapellet)の建設後により大きなチャペルの必要性を感じ、シーグルド・レヴェレンツが2番目の礼拝堂となる復活の礼拝堂(Uppståndelsekapellet)を設計し、森の中に古典的な神殿を1925年に創りあげました。
礼拝堂には賛否両論があり、洗練されていると評価される一方、理解しがたいという声もあったようです。

森のチャペルの近くには、スウェーデン生まれのハリウッド女優、グレタ・ガルボ(Greta Garbo)の墓地があります。

グレタ・ガルボの墓地
Tallum Pavilion。元々はスタッフのロッカー、更衣室、ランドリー施設、道具などの保管室として使われていた。現在はヴィジターセンターとして活用されている
水汲み場にはジョウロとスコップ。水汲み場に浮かんでいる木片は小鳥が水を飲みやすいようにと置かれている
墓地にはところどころに花が植えられ故人を偲んでいる
森の礼拝堂と復活の礼拝堂への道標
森の墓地の切手

森の墓地へは地下鉄とバスを乗り継ぎ向かいました。
地下鉄グリーンラインが、2025年8月10日まで一部閉鎖されていました。そのためT-CentralenからGullmarsplan(地下鉄グリーンライン)まで行き、Gullmarsplanからバス816でPungpinanというバス停まで行き、そこから2分ほど歩いて森の墓地へ行きました。

正規のルートは、T-CentralenからSkogskyrkogården駅まで行き、歩いて正面入り口まで行く、というルートでしょう。
この行き方であれば、正面口から大きな十字架を目の前にすることができます。

① バス停
② ヴィジターセンター
③ 復活の礼拝堂
④ グレタ・ガルボの墓地
⑤ 森の礼拝堂
⑥ 瞑想の森
⑦ 十字架
⑧〜⑪ 改装工事中
⑪ 正面入り口

参 考

World Heritage Skogskyrkogården
 https://skogskyrkogarden.stockholm/en/explore

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