北欧フィンランド トーベ・ヤンソンが織りなす世界『ムーミン』80周年

HAM(ヘルシンキ市立美術館)

ムーミンの最初のお話から80年

トーベ・ヤンソン(Tove Janson:1914 – 2001)は、フィンランドの芸術家・作家で、日本ではムーミンの作者として有名です。

1945年に、ムーミンの最初の物語『小さなトロールと大きな洪水(Muumit ja suuri tuhotulva)』が刊行されました。今年、80周年を迎えます。
『小さなトロールと大きな洪水』は、以降のムーミン物語のいしずえとなった作品ですが、ほかの物語とは文体も内容も異なるものでした。
晩年、トーベ自身は『小さなトロールと大きな洪水』はあまり良い作品ではない思っていたようです。。執筆当時はまだ、ムーミンの世界を完全には確立できてなかったようです。

日本では、1964年に講談社から「少年少女新世界文学全集27 北欧現代編」のなかに、『ムーミン谷の冬』が翻訳刊行されました。北欧現代編にはほかに、スウェーデンの児童文学作家、アストリッド・リンドグレーン『長靴下のピッピちゃん』、ノルウエーの児童文学作家、レイフ・ハムレ『青二号―とびだせ』も収められています。

トーベ・ヤンソンとヘルシンキ、所縁の地へ

トーベは1914年、スウェーデン系フィンランド人、彫刻家の父、ヴィクトル・ヤンソンとスウェーデン人、グラフィックデザイナーの母、シグネ・ハンマルステン・ヤンソンの長女として、フィンランド、ヘルシンキで生まれました。トーベの二人の弟、ペル・ウーロフ・ヤンソンもラース・ヤンソンも芸術家でした。

フィンランドはかつてスウェーデンの一部であったため、フィンランド語のほかにスウェーデン語も公用語ですが、当時スウェーデン語話者は10%にも満たない少数派でした(現代では5%ほど)。
トーベも母語をスウェーデン語として育ちました。また、ムーミンのお話も、スウェーデン語で執筆されました。

トーベの半生ついては、2020年に公開された映画『TOVE/トーベ』を観るとよいでしょう。

トーベが幼少の頃に過ごしたアパート(ピンク色の建物)(2024撮影)カタヤノッカ地区
トーベ・ヤンソン公園(2024撮影)
トーベ・ヤンソン公園を見下ろすようにそびえ建つテンペリウス教会(2024撮影)
トーベが通っていたスウェーデン学校(Broban samskolan)。フィンランド初の男女共学の教育学校。現在はデザインミュージアムとして機能している(2022撮影)。デザインミュージアムは2030年には隣にあるフィンランド建築博物館と合併し新しいミュージアムがオールドマーケット付近にできるそうです
トーベが芸術を学んんだデザイン学校。現在ではアテネウム美術館となっている(2019撮影)
ムーミンの初めての物語が誕生して65周年のたれ幕(2010撮影)
トーベの住居兼アトリエ(2019撮影)
父ヴィクトルが作成したトーベのレリーフ(2019撮影)
HAM(Helsingin taidemuseo ヘルシンキ市立美術館)。フィンランド人の友人に「ハム」と言ったら苦笑いされました(2018撮影)
HAMに描かれている壁画『Leikki(遊び)』。1955−56にアウロラ子ども病院のために描かれた壁画(2018撮影)
ヘルシンキ、ヒエタニエミ墓地のトーベの墓。両親と弟たちと一緒に埋葬されている(2019撮影)
子どもの像は、彫刻家の父、ヴィクトル・ヤンソンの作品(2019撮影)
トーベファンが花をたむけてるのでしょうか?(2019撮影)

ムーミンの最初の物語80周年を迎え、日本でも様々なイベントが開催されたり、関連商品が発売・発売予定のようです。

ムーミン80周年の限定マグ 「HOME(ホーム)」
ムーミン アラビアからムーミン80周年の限定マグ 「HOME(ホーム)」。世界限定8000個のシリアルナンバー入り。日本では限定80個が抽選で販売されました(本体30,000円税別)。すでに抽選は終了しています。
世界8,000個限定の特別バージョンで、ひとつひとつが手描きで製作されています。

ムーミンアラビアHPより
ムーミンアラビアHPより

トーベとムーミン展 ーとっておきのものを探しにー
会  期:2025年7月16日(水)~9月17日(水) ※会期中無休
開館時間:10:00~18:00 (金・土・祝前日は10:00~20:00)
会  場:森アーツセンターギャラリー (六本木ヒルズ森タワー52階)

音声ガイドナビゲーターは、3ヶ月間仕事のためにフィンランドに住んでいた俳優の杏さんです。杏さんはご自身のYouTubeでフィンランドで購入した食器などを紹介しています。アラビアをはじめ、オランダのデルフト焼きのお皿と湯呑みなど、なんと90点も購入したそうです。

80周年記念にオリジナルのバックスタンプ入りムーミンズデイ 2025マグ発売
ムーミンの日、8月9日はトーベ・ヤンソンの誕生日です。2020年からフィンランドでは国旗掲揚日に制定されました(国民の祝日ではありません)。
日本では、2005年に『小さなトロールと大きな洪水』の発表から60周年を記念して、8月9日をムーミンの日として認定しました。2022年には日本記念日協会に登録認定されています。

ムーミンの日には、筆者が調べる限りでは、2018年からフィンランドの陶器ブランドのアラビアからムーミンの日にムーミンズデイマグが発売になっています。
今年はムーミンの最初のお話から80周年を記念して、オリジナルのバックスタンプ入りです。
日本では、ムーミンアラビアなどで8月9日(土)午前10時より発売です。マグカップのほかにも、トートバックとキッチンタオルも発売されます。

ムーミンアラビアHPより
ムーミンアラビアHPより

このほかにも記念メダルペンダントスノードームカステラなどなど、色々な企業とコラボしています。

ムーミン80周年ディスプレイ(IITALLA  東京)

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