鈴木大拙館 D.T. Suzuki Museum

思索空間

鈴木大拙

鈴木大拙だいせつ(本名、貞太郎)は、1870(明治3)年、石川県金沢市に生まれた日本の仏教哲学者です。著作はおよそ100冊、これらの本や講義をとおして禅文化、「ZEN」を世界中に広めました。

大拙となる前は、石川県内の小学校で英語の先生をしていたこともありますが退職し、早稲田大学の前進である東京専門学校に入ります。しかし、中退し、のちに東京帝国大学哲学科選科に入るも、またも中退しました。
やがて禅を学ぶために、円覚寺の今北洪川いまきたこうせん釈宗演しゃくそうえんのもとへ行き、「大拙」という居士号を受けました。

以下、略歴です。
1897(明治 30)年、大拙が27歳のとき渡米し、イリノイ州ラサールのオープン・コート出版社編集員として約11年間滞在しました。
1909(明治 42)年、39歳で帰国し、学習院、東京帝国大学講師となり、翌年には学習院教授になりました。
1911(明治 44)年、41歳で国際結婚しています。
1921(大正10)年、50歳で真宗大谷大学(現、大谷大学)の教授となり、85歳まで勤めました。80代のほとんどをアメリカやヨーロッパで講義を行い過ごしました。
1958(昭和33)年、88歳で帰国し、その後は、研究生活を送り、1966(昭和41)年、95歳で亡くなりました。
出家をせずに家庭において修行を行う仏教の在家信者

鈴木大拙館

鈴木大拙館は、2011年10月18日、大拙の誕生日に開館しました。
設計は、世界的に有名な谷口吉生氏です。
大拙館は、展示空間、学習空間、思索空間の3つのエリアを回廊で結び、玄関の庭、露地の庭、水鏡の庭で構成されています。
展示空間では大拙を知り、学習空間では大拙の心や思想を学び、思索空間では自らが考えることができるように配置されています。
展示空間には、大拙の書や写真、著作物、原稿が並んでいますが、ところせましに並んでいる、というわけではなく、最低限の展示物にとどめているという印象です。展示空間の展示方針に記されていますが、見て鑑賞するのではなく「自らの思索につながる」ように考える展示にしているのでしょう。また、「大拙のことば」のリーフレットをいただくことができます。
学習空間には、テーブルがひとつと大拙の著作物が並ぶ本棚、そして露地の庭に向かって椅子が3脚ほど並び、静かに大拙の本も読むもよし、物思いにふける空間にもなっています。

心穏やかにに過ごしたり自分自身と静かに向き合う「思索」のひとときを提案するイベントや、夜のライトアップで谷口吉生氏の建物を見学できたりと、さまざまなイベントも開催しているので、ホームページを参照して、日程にあわせて訪れてみるのもよいでしょう。
ちなみに、照明計画はヤマギワも参加しています。

鈴木大拙館。奥の四角い建物が思索空間
鈴木大拙館の前に、蔵がありました
思索空間のなか。床几は900mm角で、配置を変えることで茶会や語らいの場などに利用することができます
思索空間から見える玄関の庭のクスノキ
鈴木大拙館を設計した谷口吉生氏が
亡くなった新聞記事がありました
谷口吉郎・吉生記念金沢建築館。金沢の名誉市民第一号の建築家の谷口吉郎氏の居住跡地に、長男の吉生氏の設計によって建設されました

鈴木大拙館の周辺には、石川県立美術館、国立工芸館、石川県立歴史美術館など多くの歴史文化施設があるので、一緒に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

動画は禁止です。マナーを守って撮影しましょう

鈴木大拙館
 〒920-0964 石川県金沢市本多町3丁目4番20号
 https://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/index.html
 午前9時半から午後5時 (入館は午後4時半まで)
 月曜日休館(月曜日が休日の場合はその直後の平日)
 おとな310円 65歳以上210円 高校生以下無料

参 考

鈴木大拙館
 https://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/index.html
鈴木大拙館『鈴木大拙館 開館十周年記念』2011
Yamagiwa
 https://www.yamagiwa.co.jp/case/result/1129

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