
2025年バス運休
フィンランドの中心部 Jyväsykylä(ユヴァスキュラ)からさらに約20km、Muuratsalo(ムーラッツァロ)の島に、フィンランドの建築家、アルヴァ・アアルトが設計したムーラッツァロの実験住宅は建っています。
アアルトは夏至から1ヶ月ほどの夏の間、ここで過ごしていたそうです。
現在ムーラッツァロの島へは、バスや車、自転車でも行くことができます。しかし、アアルトの時代には陸地から群島へと架かる橋はなく、アアルトは自身が設計したボートで着岸していました。
私が実験住宅への見学を計画を立てていたとき、サウナッツァロの島とレヒティ島を結ぶ Louhunsalmi(ロウフンサルミ)橋が通行制限をかけていました。
2024年11月、ケーブルが1本破損し他の補助ケーブルにも損傷の可能性があるためでした。橋が崩壊する危険性はないそうですが、2025年年末まで通行制限の予定でユヴァスキュラから実験住宅までのバスは運休しています。

ムーラッツァロの実験住宅ツアー
ムーラッツァロの実験住宅は、ツアーに参加しないと住宅内を見学することはできません。選択肢はいくつかあると思いますが、私が思いついたものは次の通りです。
① サウナッツァロの村役場に宿泊した人限定のボートツアーに申し込む
② Aalto2の美術館で募集しているツアーに申し込む
③ マイ・スオミなどの旅行会社のガイドツアーに申し込む
私は、①か②で検討。③は1人参加だと金額が高過ぎて、手が出せませんでした。日本語対応でとても魅力的でしたが、残念!
マイ・スオミのツアーでは実験住宅のほかに、ユヴァスキュラ大学、アアルト博物館、サウナッツァロの村役場の4カ所を日本語で案内していただけるようです。
【検討1】
サウナッツァロの村役場に宿泊予約をした際、宿泊確認書には次のようなことが書いてありました。
オプショナルツアー
少人数グループでのムーラツァロ実験住宅ガイドツアー(午前9時または午後5時)をご希望の方は、メッセージをお送りください。料金はお一人様30ユーロで、最少催行人数は2名様です。ツアーは6月から8月までです。
最少催行人数は2名から……。これがネックでした。私は1人参加でほかに参加者がいるのだろうか? お金を2人分払うから1人でもなんとか催行できないだろうか?
→メールで問い合わせをしましたが、返事がありませんでした。
【検討2】
Aalto2で募集しているツアーは現地集合です。この場合、実験住宅へのアクセスは、バスが運休のため、タクシーか レンタル自転車の2択です。
→【検討1】と併せて、レンタル自転車があるか問い合わせましたが、返事がありませんでした。そのため、足はタクシーのみ。タクシーを私の英語力で呼べるかどうか……心配。
Aalto2のツアーを予約して、タクシーで行くしか方法はないなと思いながら、ほかになにか手段はないだろうかと検索を続けると、最少催行人数の縛りのないボートツアーの申し込みを見つけました! ただこのツアーも、サウナッツァロの村役場の宿泊者限定用です。
【検討1】の宿泊確認書のメールにあったツアー会社と同じため、最小人数の縛りなしということ以外は内容は同じはず。ということで、こちらのツアーを申し込みすることができました。
正直、ツアーに参加するまでは、本当に実験住宅を見学できるのか心配でした。

日本に帰ってきてから改めてサウナッツァロの村役場のサイトを見ると、レンタサイクルの予約コーナーもあり調査不足でした。ただ、見逃していたからこそ、アアルト夫妻と同じボートでアクセスできました。
そして、出発時間ですが、サウナッツァロの村役場の案内は9時、私が申し込んだ催行人数の縛りがないツアーは8時と、混乱してしまいましたが、結局、予約確認書に書いてある通り、8時に待ち合わせ場所に集合です。
「アルヴァ・アアルトのサウナッツァロの村役場に泊まる」の記事内で、私が時間を勘違いしていたと書きましたが、勘違いしていたわけではなかったようです。
ボートツアー
サウナッツァロの村役場にチェックインするときボートツアーの予約確認書をに見せると、なんと参加者は私1人ということ。
実験住宅のガイドもサウナッツアロの村役場を管理しているハッリさんでした。最初9時と言われたのですが、予約確認書に書いてあるとおり、8時に時間を変更してくださいました。

ボートはサウナッツァロの村役場から歩いて7、8分行ったボート乗り場から出発します。私が時間に行くとすでにハッリさんが出発の準備をしてくださっていました。
安全ベストを着用して出発です。実験住宅までの所要時間はだいたい20分ほどです。
Map)の黒い矢印が行きのルート、赤い矢印が帰りのルートです。
じつは日本を出発する間際まで、持っていくかどうか悩んでいたものがあります。
それは100均で買ったレインコートです。結局もっていかなかったのですが、持っていけばよかったと後悔。ボートは水しぶきがバシャバシャとかかり、ちょっとしたアトラクションでした。
もしこのツアーに参加される方は、レインコートを持っていくことをおすすめします。

NEMO PROPHETA IN PATRIA(ネモプロフェタ イン パトリア)
1952年当時はまだ、ムーラツァロへの橋が架かっておらず、アクセスはボートでした。アアルト夫妻が使っていたボートは、アアルト自身が設計しました。
名前は「NEMO PROPHETA IN PATRIA(ネモプロフェタ・イン・パトリア)」ラテン語で、「人は自分の故郷では認めらにくい」という意味。
アアルトが設計したボートは現在、ユヴァスキュラ湖の湖畔に建てられた艇庫に保管されています。
艇庫は、学生を対象とした国際建築コンクールで優勝したデンマーク人2人の設計です。




まとめ
今年のムーラッツァロの実験住宅ツアーは、8月末までで終了。
来年はおそらく橋の規制も解かれ、バスでも行けるでしょうが、断然、サウナッツアロの村役場で募集しているボートツアーをおすすめします。
ボートの乗り心地さを担保するために4人までと少人数のツアーです。
私のようにたった1人という可能性もあるので、ムーラッツァロの実験住宅のひとりじめでき、他の人を気にせずに写真を撮ることもできるでしょう。
ハッリさんのツアーは英語かフィンランド語です。


Repair work on the Louhunsalmi bridge in Säynätsalo
https://www.jyvaskyla.fi/en/node/366823/louhunsalmi
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