
アルネ・ヤコブセン Arne Jacobsen(1902〜1971)
アルネ・ヤコブセンは、デンマークの建築家・デザイナーです。
1902年にデンマーク、コペンハーゲンで生まれました。父親がユダヤ系デンマーク人だったため、デンマークがドイツに占領されると、1943年にポール・ヘニングセンとともにスウェーデンに亡命しました。
1922年から25年までデンマーク王立芸術大学建築科学び、1925年、パリ万国博覧会に出品したチェアで銀賞を受賞しました。
代表的な建築に、ベルビュー海水浴場(1932)、オーフス市庁舎(1942)、SASロイヤルホテル(1960 現ラディソン・コレクション・ロイヤル・ホテル)、デンマーク国立銀行(1971)などがあります。
SASロイヤルホテルは建築の設計に加えて、家具、カトラリー、時計などのプロダクトデザイン、インテリアデザインも手がけましました。
1971年のデンマーク国立銀行が最後の建築物ですが、完成した姿を見ることはできませんでした。

セブンチェア
1952年に登場した成形合板のアントチェアから3年後、1955年にセブンチェアが発表されました。
ヤコブセンとフリッツハンセン社は、背と座面が一体のスタッキングもできるアントチェアの成功、そして成形合板の技術とマーケットが確立したと判断し、アントチェアよりも座面と背がゆったりした椅子を生み出しました。それがセブンチェアです。
セブンチェアの名前の由来は諸説あるようですが、製造番号からきている、というのが正確らしいです。
また、セブンチェアは、色や脚のヴァリエーションも豊富です。







初めて登場してから今年で70年のセブンチェアですが、70周年記念モデルが発売となっています。
70周年記念モデル「7:14 AM colour edition」のセブンチェアは、5色のパステルカラーで展開されています。デンマークの朝7時14分の空の色をイメージしているそうですが、なぜ「7時14分」なのかは、定かではないようです。
光のあたり具合いや見る角度によって変わる虹色の脚も、背面、座面のやさしいパステルカラーにあっており、彩りを加えていました。5色揃えたいところですね。

昨年12月から今年の1月に開催された京都・両足院で開催された「ポール・ケアホルム展」のアーカイヴ展に行った際に、70周年記念モデルのセブンチェアを見ることができました。
アーカイヴ展は5月18日(日)で終了ですが、当ブログで京都・両足院での展示会の様子を紹介していますので、もしよかったらご一読ください。
おまけ ー アントチェア
セブンチェアを派生させてアントチェアは、9枚の板重ね合わせた成形合板は力を加えて曲げると、当時の技術ではひび割れや亀裂(クラック)が入りました。その部分を削っているうちに美しい形が生み出されました。また、クラックを隠すためにパテを塗るりこみ、それを隠すために黒く塗ったさまを見た職人さんが、「蟻(デンマーク語で「myre」)みたいだ」と言ったことが名前の由来です。
オリジナルは3本脚ですが、ヤコブセンが亡くなったあとに4本脚も製造されるようになりました。
島崎誠+生活デザインミュージアム『美しい椅子』柮出版社,2003
Resding fremtiden
「名作北欧家具を生み出したデザイナーたちの「人となり」VOL.3 アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)- 前編」
https://fremtiden.jp/reading/arnejacobsen1/
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