
フィンランドのデザイナー、タピオ・ヴィルカラ(Tapio Wirkkala 1915〜1985)の展示会、「タピオ・ヴィルカラ 世界の果て」展が、4月5(土)から東京の東京ステーションギャラリーでスタートしました。
同日20分後には、開幕記念トークイベント「タピオ・ヴィルカラ 作品と思い出」が行われました。
登壇者は、タピオ・ヴィルカラの長女で現代アーティスとでもあるマーリア・ヴィルカラ(Maaria Wirkkala )さんと、デザイナーの皆川明さんでした。
タピオといえば40年もの間、IITTALA(イッタラ)のデザイナーとして活躍していたのでガラスのイメージが強いですが、彫刻、切手、紙幣、プラスチック製品、カトラリーなど、作品は多岐に渡ります。
日本ではそれほどメジャーではないタピオの展示会は、どのような経緯で開催されたのでしょう??? 2019年には、同じ東京ステーションギャラリーでタピオの妻、Rut Bryk(リュート・ブリュック)の展示会が開催され、皆川明さんがトークイベントを催されました。
フライヤーにもある 「The Sculptor of Ultima Thule」のUltima Thule(ウルティ・トゥーレ)は、ラテン語で「世界の最北」という意味です。
「世界最北の彫刻家」
タピオは、Ultima Thuleに創作、人生を求めたものだろうと、長女のマーリアさんは語りました。
Ultima Thuleは、イッタラのためにタピオがデザインしたガラスシリーズであり、同名で9mもの巨大な合板のレリーフもあります。これは、1967年に開催されたモントリオール万博で、フィンランドパビリオンのために制作されたものです。いまは、フィンランドのエスポーにあるEMMA美術館に収蔵されています。
東京ステーションギャラリーでは、EMMA美術館制作のUltima Thuleのレリーフを紹介するビデオが上映されているようです。
講演会ではまず、マーリアさんのポケットから、タピオがデザインした手の平におさまる鳥の彫刻(ペーパーウエイト)が取りだされました。それをマーリアさんが皆川さんに手渡し、来場者の手から手へと手渡されていきました。講演会が終わるころにはまたマーリアさんのポケットへと戻っていきました。
みなさんの思いが込められた鳥が私と一緒にフィンランドに戻りますと、マーリアさんは言います。
タピオにとってフィンランドの最北の地ラップランドは、心の均整をとる充電してくれる土地だったようです。ヘルシンキにも仕事場がありましたが、まったく異なったようです。
また、妻であるリュート・ブリュックを触れずして、タピオを語れないとマーリアさんは言います。性格もまったく異なるふたりが、風景や人生を共有しながら作品をつくり続けていきました。
マーリアさんのお話は、マーリアさんが最後に撮ったお父さん、タピオのセピア色の写真でしめくくられました。撮影地についてはふれなかったのですが、きっとラップランドでしょう。広大な土地に、背の高い木の柵と柵との間にタピオがいます。1枚目は直立不動、2枚目に腕を広げて『T』の字の姿、そして最後3枚めにはタピオの姿はありませんでした。
展示会では、およそ300点もの作品とドローイングや写真が展示されています。
私はもまだ足を運んでいませんが、今年2025年に生誕110周年、没後40年という節目を迎えるこの展示会に、近日中に訪れたいと思います。

「タピオ・ヴィルカラのアイコニックなデザインの遺産が、生誕110周年に日本で初めて紹介されます」





タピオ・ヴィルカラ 世界の果て
場 所:東京ステーションギャラリー
開催期間:2025年4月5日(土) – 6月15日(日)
開館時間:10:00 – 18:00(金曜日は20:00まで開館) https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202504_tapio.html
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