アアルト聖地「セイナヨキ」を訪れる　

セイナヨキ

セイナヨキは、フィンランドの中西部、南ポフヤンマー県内に位置します。
アルヴァ・アアルト（Alvar Aalto）に興味のある方々にとっては、アアルトセンターでこの地名をご存知でしょう。

アアルトセンター

アアルトセンターは、アルヴァ・アアルト（Alvar Aalto）が設計した６つの建物で構成されています。

１）Lakeuden ristikirkko（ラケウデンリスティ教会）1960
セイナヨキの町に、一際目を引く背の高い鐘楼塔があるラケウデンリスティ教会は、­アアルトセンターの建物群のなかで完成した最初の建物です。
鐘楼塔は全長65mで、セイナヨキのランドマークとなっています。

教会内の照明、テキスタイル、聖餐の器などもアルヴァ・アアルトによるデザインです。

鐘楼塔の展望台へはエレベーターで行くことができますが、エレベーターをおりたあと30段ほど階段をのぼる必要があります。展望台は、地上から55mのところにあります。
教会の方が、鐘楼塔のドアの鍵を開けて、エレベーターまで案内してくださいました。そのときに「エレベーターをおりたあと階段を昇る必要がありますが、大丈夫ですか？」とたずねられました。

エレベーターはとてもレトロで、「このエレベーターで上まで上がれるのだろうか？　大丈夫？」という感じでした。
ドアは２重ですが２枚とも網戸状態で、外がまるみえ。上階まであがる際は、スピード感を体験できスリル満点でした。

展望台からは、セイナヨキの町並みを一望できました。アルヴァ・アアルトと建物群も見ることができます。

展望台は、冬は閉鎖しているので、夏に教会を訪れる機会があれば、展望台の眺めとエレベーターのスリル体験をおすすめします。

私たちが訪れたとき、教会のエントランスホールでチャーチカフェを開催しており、２€で紅茶をいただきました。友人のフィンランド人によると夏によくあるイベントのようです。

２）Kaupunginkirjasto（アアルト図書館）1965
アアルト図書館は1965年に完成しました。館内が扇形になっているのが特徴的です。

図書館に入ると右側には、アアルト最大のガラスコレクションが展示された部屋があります。展示室を出て図書館内に進むと貸し出しカウンターがあり、その上には、A111「hand grenada（手榴弾）」がぶらさがっている光景が目に入ります。
目に入るものすべてがアルヴァ・アアルト作品で、心が高揚します。
館内には、アアルトコーナーがあり、アアルト関連の本が多く並んでいました。

３）Seurakuntakeskus（教区センター）1966
アルヴァ・アアルトは、教会の中庭を屋外イベントが開催できるように設計しました。

４）Kaupungintalo（市庁舎）1962
光沢のある濃紺の棒状のセラミックタイルは、とても印象的です。
アルヴァ・アアルトは、国民年金協会（1953-56）の設計と並行して、この棒状のセラミックタイルを開発しました。この煉瓦が外装材として初めて使われたのがセイナヨキ市庁舎でした。

2階の会議室も入ることができます。A111「hand grenada（手榴弾）がリズミカルに垂れ下がっている光景は圧巻です。

５）Virasototalo（合同庁舎）1968
アルヴァ・アアルトは、教会から出発し、市民広場を通過する終点として「静かな背景の建物」を設計したいと考えました。

６）Kaupunginteatteri（市立劇場）1987
アルヴァ・アアルトは1968年に劇場の設計図を作成しましたが1976年に逝去、建物の完成はエリッサ・アアルトの指導のもと1987年のことでした。

セイナヨキ観光

１）SUOJELUSKUNTA- JA LOTTA SVÄRD – MUSEO
（防衛隊・ロッタ・スヴァルド博物館）1926
防衛隊・ロッタ・スヴァルド博物館の建物もアアルトセンターの建物群同様、アルヴァ・アアルトが設計しました。
防衛隊、ロッタ・スヴァルド、イエーガー（狙撃兵）に関する展示が行われている博物館です。

ロッタ・スヴァルドは、女性の自発的な国防組織で、1921年に正式に結成されました。「ロッタ・スヴァルド」という名前は、フィンランドの国民詩人、ルーネベリの『The Tales of English Stål』に由来しています。1944年には24万人以上のロッタがいました。

建物は、元の姿をほぼ完全に保っているそうです。本館の内部には1925年当時の塗装が見られるようです。どこだかわかりませんでしたが当時のまま100年も、と思うとロマンを感じます。

２）アピラ図書館
2012年にアアルトの建築と調和するkように、アピラ図書館がオープンしました。
アピラ図書館は、フィンランドで有名なJKMMという建築事務所が設計を担当しました。
JKMMは、ヘルシンキに2018年に完成したAmos Rexも手がけています。

３）キュレン川
セイナヨキはコンパクトな町なので、１日もあれば十分に観光が可能です。
駅から15分も歩けば、キュレン川まで行くことができます。
川のほとりには白樺の木の森があり、早朝お散歩するには最高のロケーションです。

４）カフェ情報
①　VALKOINEN PUU CAFE（バルコイネン・プー）＊写真は2022年12月のもの
ケーキやピザなどが食べられます。今回はランチで利用。単品のほかにビュッフェ（サラダ、パン、スープ、お茶 or コーヒー）もあります。
食べ物は、フィンランドっぽいというより、アメリカンなイメージです。
１ピースが大きなケーキの種類が豊富です。
お土産にちょうどよい、お店オリジナル商品も販売されています。

②　PIKKU PAUSSI（ピック・パウッシ）
パン屋さんです。店内でも食べられます。お惣菜パン、お菓子パンとも充実。
地元では人気店らしく、行列ができていました。店内で食べている人は、行列で落ち着かないだろうな……。
価格帯は、ヘルシンキより、少しお値段おやすめでした。

５）プラスα
ヘルシンキにもありますが、ここセイナヨキにも手芸用品の取り扱いがあるTAITO（タイトー）ショップがあります。
夏の日差しが強いときに歩いて行くには少しきついかもしれませんが、セイナヨキ駅から歩いて15分ほどです。Kalevan Navettaという敷地内にあります。

Kalevan Navettaは芸術・文化センターで、敷地内には、コンサートホール、ギャラリー、カフェなどが併設されています。
イベントも開催しているので、ユニークな旅行を経験したい方は、足をのばすのもよかいもしれません。

また、セイナヨキ駅からバスで15分ほどのところに、Ideapark Seinäjoki（イデアパーク セイナヨキ）というだだっ広いショッピングモールがあります。
セイナヨキ在住の方によると、いまだ拡大中だとか。

2022年12月に訪れたときは、セイナヨキ駅徒歩圏内にMarimekkoがあったのですが、そこからイデアパークに移店したようです。