アルヴァ・アアルトの命日

1976年5月11日に、フィンランドの稀有な建築家、アルヴァ・アアルトが亡くなりました。

昨年2023年は、アルヴァ生誕125年スツール60の誕生、Paimio Sanatrium の完成から90年とアルヴァのアニバーサリー・イヤーでした。

スツール60「アルヴァ・アアルト―もうひとつの自然」神奈川県立近代美術館 葉山館(2018)
Paimio Sanatrium パイミオのサナトリ

アイノのためにデザインした墓1)

アルヴァのお墓は、ヘルシンキのヒエタニエミ墓地にあります。

最初の妻アイノ(1894−1949)に先立たれたアルヴァが、アイノのために墓碑をデザインしました。最終的に、アルヴァと二番目の妻エリッサ(1922−1994)も、同じ墓石の下に埋葬されています。
墓石には、アルヴァとアイノが新婚旅行で訪れたイタリアへの愛情が、美しく表れています。

アルヴァの墓碑はエリッサがデザインしました。2)エリッサは、古代の大理石の円柱か少なくとも古代風の柱頭を希望しましたが、古代遺物の輸出は禁止されていました。最終的に18世紀の柱頭がみつかり、広い意味で「現代」とみなされ、輸出が可能になりました。


アルヴァは、彫刻にも大きな関心をもっていました。それは、イタリアのルネサンス期のジョット、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロなどの多才な芸術家への尊敬からきています。彼らは、建築家であり画家であり彫刻家でもありました。

アルヴァは、ヘルシンキ工科大学(現アアルト大学)在学中、彫刻に関する多くのコンクールに熱心に参加していました。
フィンランドの内戦終結後に、戦没者慰霊碑の計画をたてましたが、その多くは紙の上だけで終わりました。

恩師、ウスコ・ニュスートロン

アルヴァ、アイノ、エリッサの眠るお墓は、アルヴァの恩師、ウスコ・ニューストロン(Usko Nyström)の近くにあります。ウスコ・ニューストロンの墓碑は、1944年にアアルトがデザインしました。3)

アルヴァがデザインしたウスコ・ニューストロンのお墓
引用:Leena Makkonen『Alvar Aallon kädenjälki Helsingissä』Kaupunkisuunnitteluvirasto,2009, p.103

おわりに

アルヴァのお墓の隣には、タピオ・ヴィルカラ(Tapio Wirkkala)、ルート・ブリュック(Rut Bryk)夫妻のお墓があります。
アルヴァやタピオのお墓は21a区画にあり、芸術家が多く眠るエリアです。

ムーミンの作者であるトーベ・ヤンソン(Tove Jansson)も、ヒエタニエミ墓地にお墓があります(Oldエリア15区画)。
ほかにも、フィンランドを代表するチョコレート会社ファッツェルの創業者カール・ファッツェル(Karl Fazer)などのお墓もあります。とても大きなお墓でした。
地図には掲載されていましたが、どうしてもカイ・フランク(Kaj Franck)のお墓をみつけることができませんでした(Newエリア15区画)。機会があればまた、探したいと思います。

リスが駆け回るヒエタニエミ墓地は、とても静かな場所です。多くの墓碑がデザインされており、墓地といえども、美術鑑賞をしているような気分を味わうことができます。

Hietaniemen hautausmaa
https://www.helsinginseurakunnat.fi/en/index/hietaniemenhautausmaa.html.stx
〈著名人お墓マップ〉トーベ・ヤンソンはこちらの地図https://www.helsinginseurakunnat.fi/material/attachments/hautausmaat/hietaniemi/0ok64uiud/Hietaniemi_A4_en_151123.pdf
〈著名人お墓マップ(芸術家)〉アアルト、タピオ・ヴィルカラはこちらの地図 https://www.helsinginseurakunnat.fi/material/attachments/YoZv4gQcy/taiteilijainmaki_opas_140527.pdf

【アクセス】Hietaniemenkatu 20, 00100 Helsinki
 https://maps.app.goo.gl/HKABGwtHeSp5Pg6x6
 
 アルヴァのお墓(21a区画16)までトラム8番Maria駅から徒歩4〜5分 

参 考

1)Leena Makkonen『Alvar Aallon kädenjälki Helsingissä』
 Kaupunkisuunnitteluvirasto,2009,pp.102-105
2)A Guide to the Gravesites of Architects
 https://thereader.mitpress.mit.edu/a-guide-to-the-gravesites-of-architects/
3)Arkkitehtuurimuseo
 https://www.mfa.fi/kokoelmat/arkkitehdit/usko-nystrom

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