パイミオの診療所、元看護スタッフ寮に泊まる
看護スタッフの寮
パイミオの療養所(PAIMIO SANATORIUM)は、アアルトの知名度を国際的に高めた建造物です。
その敷地内にある当時、看護スタッフの寮だった Mäntylä に宿泊しました。Mäntyläは1949 年に完成しました。
宿泊施設は Mäntylä のほかにも、アルテックの家具を備えた Nurses’Domitory × Artec、フィンランドの家具メーカーHakolaの家具を備えた Nurses’Domitory × Hakola 、Cウイングにある看護師の家 Dormitories があります。
ルームツアー
アルテックの家具を備えた Nurses’Domitory × Artec を予約したかったのですが、あいにく予約で埋まっていたため、Mäntylä を予約しました。とはいえ、Mäntylä もPendant Lamp A337、リビングルームのテーブル(1933)や、キッチンの Chair 69(1935)、Wall Shelf 112(1936)、SIENA(1954)柄のカーテン、ベッドルームの Stool 60(1933)など、アルテック製品を多く見ることができました。
ベッドルームはふたつあり、それぞれ2台ずつベッドが備わっています。
カーテンがグリーンの部屋(Photo上:右、Photo下:右左)には、アルテックの半円のテーブル(1933)の上にテレビが置いてあり、その横のドアは大きな収納になっています。カーテンがイエローの部屋(Photo上:左)にも大きな収納棚があります。
キッチンには、冷蔵庫、ガス台、オーブン、電子レンジ、電子ケトル、Arabiaの食器やカトラリーなど必要なもはすべて備わっています。食材と調味料さえあれば、料理をつくることができます。
食器棚はとても機能的です。シンク上の食器棚の底面が網になっており、洗った食器類を置くと水が下のシンクに落ちるようになっています。洗ったものを直接ここに置けば、乾燥と片付けが一度にすみます。フィンランド語で「Astiankuivauskaappi」(食器の乾燥棚)というそうです。
バスルームとトイレはとてもシンプルです。バスタブはもちろんありません。シャワーだけです。
トゥルク生まれの松の木の製品を扱う「ヘトキネン」のハンドソープとシャンプーはありましたが、アメニティは持って行ったほうがよさそうです。日本のホテルのように、スリッパや部屋着はありませんし、ドライヤーもありませんでした。
食事/Restaurant Toivo(レストラン トイボ)
Googleマップを見ると、パイミオの療養所周辺にはお店らしきものはなさそうです。実際に行ってみると、気軽に歩いて行ってこられるようなレストランやスーパーは見当たりませんでした。
日本を出発する前に、Restaurant Toivoで夕食の予約ができるかどうかメールで問い合わせたところ、夜の営業はしていないが、お弁当は用意できるという返事をいただいたのでお願いしました。
夜のお弁当に加えて、翌日のランチについても日本であらかじめ、予約をしました。
朝食の情報は、旅行前に得ることはできませんでした。パイミオの宿泊施設は、日本でいう「素泊まり」だろう、どこかでパンを買えばいいと考えたので問い合わせをしませんでした。
パイミオの療養所に到着し、Restaurant Toivoで夕食のお弁当を待っているときに、「朝食はどうするんですか?」とスタッフの方に声をかけていただきました。Restaurant Toivoで食べられるということなので、朝食もお願いすることにしました。結局、宿泊初日の夜、翌日の朝と昼の3食を、Restaurant Toivoにお世話になりました。
Restaurant Toivoのスタッフの方々は、大変フレンドリーで親切でした!!一緒に記念撮影もしていただきました。
Mäntylä周辺
パイミオの療養所からトボトボと、Mäntyläに向かいます。目に入るものすべて写真におさめたくなるような被写体が続きます。
屋外のランプも、アアルトによるデザインです。光が間接的に下の方に反射されるために、散乱光が漏れることがなく眩しさを感じません。
パイミオの療養所敷地からくねくねとした小道が続いており、森のなかを散歩することができます。小川も流れています。私は、たまたま会った犬の散歩をされていた地元のご婦人に、森を案内していただきました。日本人が珍しかったのでしょうか。きついトレイルウォーキングコースではありませんので、気軽に散歩を楽しめます(ご婦人が一生懸命に案内してくださり写真を撮りながら、というのも失礼なので写真が一枚もありません)。
おわりに
アアルトの建造物というだけではなく、かつて結核患者のために奔走した看護スタッフの寮に宿泊するという貴重な体験ができました。パイミオの療養所完成から90年のときを超え、2020年パンデミックを起こしたCOVID-19と戦った現代の医療スタッフの皆様のご尽力と重なる思いがしました。
自然に囲まれたアアルトの機能主義建築での滞在は、ノスタルジックな感慨にふけ、静かな時間を過ごすことができました。
パイミオの療養所の見学だけではなく、当時のことに思いを馳せながら1泊するもよい思い出になります。
*本記事は、2023年5月にパイミオの療養所内、Mäntyläを訪れた際のものです。
Paimio Sanatrium
【Home Page】下記よりMäntyläとそのほか宿泊施設の予約ができます。
https://paimiosanatorium.com/
メニューバーの「info」→「EAT&SLEEP」「Staying over」
【宿泊料金】1部屋€120〜 部屋によって異なります。
2023年5月に€160で宿泊したMäntylä4人部屋は、今年も同じ値段でした。
アルテック部屋は割り高です。
【アクセス】Alvar Aallon tie 275, 21540 Paimio Finland
Google map:https://maps.app.goo.gl/mtaj3BeBXQPZrA6e9
〈バ ス〉
トゥルクより約1時間です。 705 、706 系統はパイミオ療養所の前に到着。
703 、704 系統はパイミオの療養所より3 km ほど離れたパイミオの中心部に停車。
行きは「復活の礼拝堂」見学のあとに、バス停 「Vanha hautausmaa」より705 、706 系統のバスでパイミオの診療所に向かいました。バス代は、バスの運転手さんに現金を支払いました(大人€6.3 65歳以上€5.3)。バス停が徒歩5分ほどでパイミオの診療所に到着。
帰りは、ちょうどよいバスの時間がなかったため、パイミオのサナトリウムの受け付けの方に、タクシーを呼んでいただきKupitta駅まで行きました(€60.1)。
Paimio SanatriumのHPに詳しいアクセス方法が紹介されています。
https://paimiosanatorium.com/experiences/visiting-information/
【チェックイン・チェックアウト】
〈チェックイン〉 13:00~15:00
〈チェックアウト〉 12:00
チェックイン・アウトは、パイミオの診療所の受け付けで行いました。
Resturant Toivo
【Home Page】
https://ravintolatoivo.fi/
夜のお弁当は€20、
朝は€12、スープランチは€10でした。
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